トランプ次期大統領が国家情報長官に指名したトゥルシー・ギャバード氏が、真珠湾攻撃から82年となる記念日に日本の再軍備を批判する発言をしました。
民主党から共和党へと転身し、FOXニュースでの活動を展開するギャバード氏は、43歳の若さながら波乱に満ちた政治キャリアの持ち主です。
イラク戦争での従軍経験を持つ彼女は、CIAやFBIなど米国の情報機関全体を統括する重要ポストに就く予定ですが、情報機関での実務経験不足を指摘する声も上がっています。
この記事では、ギャバード氏の政治信念の変遷から最新の発言、そして国家情報長官就任に向けた課題までを詳しく解説していきます。
- トゥルシー・ギャバードが2024年11月に国家情報長官に指名され、同年12月7日に日本の再軍備を批判する発言をしたこと
- 民主党から共和党へ転身し、FOXニュースでの活動を展開する43歳の政治家としての経歴
- イラク・クウェートでの従軍経験を持ち、独自の外交観を持つ軍事のプロフェッショナルであること
- 情報機関での実務経験不足を指摘されながらも、CIA・FBIを統括する重要ポストに就く予定であること
トゥルシー・ギャバードの衝撃発言!日本の再軍備に警鐘
2024年11月13日、トランプ次期大統領は、第2次政権の国家情報長官にトゥルシー・ギャバード元下院議員(43)を指名しました。
しかし、その直後の12月7日、ギャバード氏が真珠湾攻撃の日に日本の再軍備を批判する衝撃的な発言をし、物議を醸しています。
真珠湾攻撃記念日のX投稿で物議を醸す
As we remember Japan’s aggression in the Pacific, we need to ask ourselves this question: is the remilitarization of Japan, which is presently underway, truly a good idea? We need to be careful that shortsighted, self-serving leaders do not end up bringing us again face-to-face…
— Tulsi Gabbard 🌺 (@TulsiGabbard) December 7, 2023
ギャバード氏は2023年12月7日、真珠湾攻撃の日に、Xで「太平洋侵略を思い起こすと、現在の日本の再軍備は本当に良い考えだろうか」と述べ、日米が再び戦わないよう「注意しなければならない」などと投稿しました。
この発言は、日本の軍事力強化に警鐘を鳴らすものとして大きな注目を集めています。
ギャバード氏は「近視眼的で利己的な指導者たちが、私たちを再び再軍備された日本と直面させることにならないよう注意する必要がある」とも述べ、日本の軍事大国化への懸念を示唆しました。
日米関係への影響は?専門家の見方
ギャバード氏の発言は、日米同盟関係にも影響を及ぼす可能性があります。
安全保障の専門家からは、「日本の軍事力増強を牽制する発言は、同盟国である日本に不信感を与えかねない」との指摘もあります。
一方で、「日本の軍事的役割拡大について、米国内でも慎重な意見があることを示している」という見方もあります。
ギャバード氏は、日米が再び戦争状態に陥ることを強く警戒しています。
真珠湾攻撃から82年が経った今、日本の再軍備に伴うリスクを米国民に喚起したい考えとみられます。
ただ、同盟国である日本を名指しで批判したことで、日米関係に微妙な影を落とすことにもなりそうです。
第2次トランプ政権で重要ポストへ
トランプ次期大統領は、ギャバード氏を国家情報長官に指名するなど、第2次政権の布陣を着々と進めています。
ギャバード氏は、トランプ陣営の重要な戦力として浮上しているようです。
国家情報長官就任の経緯
ギャバード氏は2024年11月13日、トランプ次期大統領から国家情報長官への指名を受けました。
ギャバード氏は、2022年に民主党を離党し無所属となった後、2024年10月に共和党に入党。
トランプ氏の2024年大統領選挙キャンペーンに参加し、トランプ陣営の中枢メンバーの一人に数えられています。
政権移行チームにも起用されていたギャバード氏ですが、国家情報長官という重要ポストに抜擢されたことで、トランプ次期大統領からの信頼の厚さがうかがえます。
CIA・FBI統括の重責
国家情報長官は、CIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)など、米国の情報機関全体を統括する役職です。
テロ対策や国家安全保障上の課題に取り組む、極めて重要なポジションと言えます。
ギャバード氏は、対テロ戦争に批判的な立場を取ってきた一方、イスラム過激主義への警戒感も示しており、情報機関トップとしての手腕が注目されます。
ただし、情報機関での勤務経験がないギャバード氏の起用には、情報収集や分析の専門性の面で懸念を示す声もあります。
就任には上院の承認が必要であり、承認プロセスでの議論が予想されます。
波乱の政治キャリア
ギャバード氏は、21歳で州議会議員に当選するなど、早くから政治の世界で頭角を現してきました。
民主党、共和党の両党に所属した経歴を持ち、独自の立ち位置で活動してきた政治家とも言えそうです。
21歳で史上最年少州議会議員に
ギャバード氏は、2002年にわずか21歳でハワイ州議会議員選挙に当選し、全米最年少の女性州議会議員となりました。
母親の影響でヒンドゥー教の信仰を持つギャバード氏は、米領サモア出身で多様な文化的背景を持ちます。
若くして政治家としてのキャリアをスタートさせた彼女は、再生可能エネルギーの推進など環境問題にも積極的に取り組んできました。
民主党から共和党へ転身した理由
長年民主党に所属していたギャバード氏でしたが、2022年10月に民主党を離党。
わずか2年後の2024年10月には共和党に鞍替えしています。
ギャバード氏は、民主党の「戦争屋のエリート主義」を批判し、「臆病なウォーク主義」に駆られていると主張。
一方、共和党のトランプ氏を支持し、政権移行チームにも参加するなど、保守色を強めています。
民主党離党後は、FOXニュースに頻繁に出演するようになり、中絶や外交政策、LGBT権利、国境警備など、保守的な立場を鮮明にしてきました。
民主、共和の垣根を越えた活動は、ギャバード氏の政治信条の変化を象徴しているようです。
バイデン政権への批判姿勢
ギャバード氏は、民主党のバイデン大統領に対しても厳しい批判を展開しています。
ギャバード氏は、2022年のロシアのウクライナ侵攻について、侵攻はロシア政府の責任ではないと主張。
ウクライナのNATO加盟の動きを巡る「ロシアの安全保障上の懸念」をバイデン政権が見誤ったことが原因だと指摘し、政権を非難しました。
こうした外交姿勢は、民主党時代のギャバード氏の主張からは大きく変化しており、共和党に接近する背景となっているとみられます。
トランプ氏を支持する立場から、バイデン政権へのさらなる批判を展開していく可能性もありそうです。
軍事経験が生んだ独自の外交観
ギャバード氏は、イラクやクウェートでの従軍経験を持つ、数少ない現役軍人出身の政治家です。
この軍事経験が、彼女の外交観にも大きな影響を与えているようです。
イラク・クウェートでの従軍経験
ギャバード氏は、2004年から2005年にかけてイラク戦争に派遣され、医療部隊で活動。
2008年から2009年にはクウェートにも派兵されています。
イラクでの過酷な戦場経験は、ギャバード氏に戦争の悲惨さを深く印象付けたと言います。
その後、クウェートでは、現地の軍関係者から感謝状を贈られるなど、軍人としての手腕も発揮しました。
現在も陸軍少佐としてリザーブ勤務に就くギャバード氏。
軍事のプロフェッショナルとしての顔も併せ持っています。
ロシア・ウクライナ問題での立場
ギャバード氏は、ロシアのウクライナ侵攻を巡る外交問題でも独自の立場を取っています。
前述の通り、侵攻の原因をロシアの安全保障上の懸念に求め、バイデン政権の外交方針を批判しているのです。
ギャバード氏は過去にシリアのアサド大統領とも面会しており、米国の軍事介入に懐疑的な姿勢を見せてきました。
「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ氏に近い外交観と言えるかもしれません。
一方で、ロシア寄りとも受け取られかねない発言には批判も集まっています。
情報機関トップとなれば、外交・安全保障分野での影響力はさらに大きくなるでしょう。
国家情報長官就任への懸念
ギャバード氏の国家情報長官起用には、情報コミュニティ内外から懸念の声も上がっています。
特に、情報機関での経験不足や、上院での承認プロセスの行方が注目されています。
情報機関での実務経験不足を指摘する声
CIAやFBIなどの情報機関での勤務経験がないギャバード氏の起用に、情報収集や分析の専門性の面で不安視する声が情報コミュニティ内から聞かれます。
下院議員を4期務めたギャバード氏ですが、情報分野のバックグラウンドは乏しいのが実情です。
外交・安全保障の知見はあるものの、情報のプロではないとの指摘もあります。
議会からも、ギャバード氏の資質を疑問視する声が上がっています。
民主党のバージニア州選出下院議員で、下院情報特別委員会のメンバーを務めるアビゲイル・スパンバーガー氏は、ギャバード氏の指名に「準備不足で不適格だ」と言及。
陰謀論を流布し、独裁者に迎合するとして懸念を示しました。
上院承認のハードルは越えられる?
国家情報長官に就任するには、上院の承認が必要不可欠です。
しかし、ギャバード氏の前歴やロシア寄りの姿勢を問題視する議員も多く、承認プロセスは難航が予想されます。
共和党が上院で過半数を制するため、最終的にはギャバード氏の承認に漕ぎ着ける可能性が高いと見られています。
ただ、審議の過程でギャバード氏の資質を巡る議論が白熱することは必至です。
民主党議員だけでなく、共和党内からもギャバード氏への懸念は根強くあります。
トランプ政権の人事を巡っては、閣僚候補の過激な発言などが取り沙汰されるケースが目立ちました。
ギャバード氏も例外ではなく、過去の言動が吟味されることになりそうです。
政治信念の変遷
民主党の進歩派として出発したギャバード氏でしたが、近年は保守色を強めています。
とりわけ民主党離党後は、共和党寄りの主張を展開するようになりました。
進歩派から保守派へ
下院議員時代、ギャバード氏は民主党の進歩派に属し、LGBT権利の拡大など、リベラル色の強い政策を支持していました。
一方で、イスラム過激派への警戒感を示すなど、外交・安全保障分野では穏健な立場を取ることも少なくありませんでした。
ギャバード氏は、民主党の「戦争屋のエリート主義」を批判し、「臆病なウォーク主義」に駆られていると主張。
急速に保守化の道を歩んでいます。
中絶規制の強化や国境警備の強硬策など、保守派に共通する主張を展開するようになりました。
かつての進歩的な政策スタンスからの転換ぶりには、民主党支持者の間でも失望の声が少なくありません。
FOXニュースでの活動
民主党を離れてからは、保守系メディアへの出演を増やしているギャバード氏。
中でもFOXニュースとの関係が深いようです。
ギャバード氏は、FOXニュースの看板番組「タッカー・カールソン・トゥナイト」の guest hostを務めるなど、同局の顔とも言える存在になりつつあります。
FOXニュースの番組を通じて、保守派の視聴者にアピールを続けているギャバード氏。
政治的立場の移り変わりとともに、メディア戦略も大きく変化させているようです。
世間やメディアの反応は?
ギャバード氏の国家情報長官指名には、賛否両論の反応が見られます。
特に民主党支持者からは厳しい声が上がっています。
民主党支持者からの厳しい声
かつてギャバード氏を支持していたリベラル派からは、裏切り行為だとの批判が相次いでいます。
トランプ政権の閣僚候補に名を連ねたことで、「進歩派の星」から「トランプの手先」へと評価が一変。
民主党支持者の多くは、ギャバード氏の変節を非難しています。
- 政治的日和見主義者: 自身の政治的野心のために、政治信条を簡単に変えるギャバード氏を非難する声があります。
- ロシアの擁護者: ロシア寄りの発言が問題視され、プーチン大統領の「広告塔」のようだと批判されています。
- 陰謀論者: ギャバード氏が陰謀論を振りまいている、と指摘する民主党員もいます。
一方で、トランプ支持者からは歓迎する意見が目立ちます。
反戦・非介入の外交政策を支持する共和党員の中には、ギャバード氏に期待を寄せる向きもあるようです。
共和党内での評価
共和党内では、ギャバード氏への評価が割れているのが実情のようです。
- トランプ支持派: トランプ氏に近い政策スタンスから、重用すべき人材だと高く評価する議員が少なくありません。
- 穏健派・伝統的保守派: 一方で、ギャバード氏の過激さを危険視する向きもあります。特に外交・安全保障政策を巡っては慎重論が根強いようです。
党内の意見集約が課題となりそうですが、トランプ氏の意向が最優先されるのは必至。
ギャバード氏の去就が注目されます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
まとめ:トゥルシー・ギャバード氏の政治転身と日本批判について
- 2024年11月にトランプ次期大統領から国家情報長官に指名を受ける
- 真珠湾攻撃記念日に日本の再軍備を批判する発言で物議を醸す
- 21歳でハワイ州議会議員に当選し全米最年少記録を樹立
- イラクとクウェートでの従軍経験を持つ現役の陸軍少佐
- 2022年に民主党を離党し2024年10月に共和党へ転身
- FOXニュースの看板番組でguest hostを務める保守系メディアの顔
- ロシアのウクライナ侵攻についてバイデン政権の対応を批判
- CIA・FBIなど情報機関全体を統括する重要ポストに就任予定
- 情報機関での実務経験不足を指摘される声が上がる
- 上院での承認プロセスは難航が予想される状況
- LGBT権利など進歩的政策から保守的立場へと政治姿勢を変化
- トランプ陣営の中枢メンバーとして信頼を得ている人物